Sleep disorder
起床困難・概日リズム睡眠障害・過眠症
起床困難とは

起床困難は近年未成年者にも増えており、小中高生の受診も増加傾向にあります。
起床困難があると目覚ましのアラーム音が聞こえなくなり、家族などの周囲の人が起こすことも困難になります。このため、学校や仕事に行くことが難しく、結果的に社会生活に支障をきたすようになります。
「怠けている」、「やる気や根性が足りない」、「甘え」と言われがちですが、起床困難は治療が必要な疾患です。そのため、叱ったり諭したりするよりも、まずは当院にご相談ください。
起床困難の主な症状
起床困難は周囲から「甘え」や「怠け」と勘違いされがちで、本人は対応できないまま叱責されるため、自己肯定感が下がります。
そのため以下の症状があればぜひご相談ください。
- 朝起きれない
- 会社や学校に遅刻するまたは、行けない
- 日中の眠気がおさまらない
起床困難の原因
睡眠不足
就寝時間の遅さが要因になりがちです。近年はスマートフォンやパソコンを見る時間が長くなっていることも関係していると思われます。画面の光が体内時計を狂わせるため、眠りにくくなる傾向が強まっているのです。光を意識したメリハリのある生活が大事です。
睡眠障害
夜寝つけず、遅寝遅起きとなる睡眠相交代症候群という睡眠リズム障害があります。閉塞型睡眠時無呼吸は、扁桃肥大や肥満のほか顎の形状などの要因によって気道が閉塞し、睡眠中に呼吸が止まることを指します。この状態になると睡眠の質が下がり、起床しにくくなったり、起きて活動しているときに眠気に襲われやすくなったりします。
周期性四肢運動障害(睡眠中、無意識に腕や脚がぴくぴく動く障害)や、レム睡眠行動障害(夢に反応して身体が動いたり、大声で寝言を行ったりする障害)などがあると睡眠の質が低下し、起床のしにくさに繋がります。
また、そもそも体質的に睡眠時間が長い人は、睡眠時間を十分に確保できないと朝の起床が困難になることもあります。
ほかにも、認知症や女性の更年期なども睡眠障害に繋がる例が見られます。睡眠障害をしっかり鑑別の上でそれぞれの病態に応じた対応を行います。
薬の副作用
不眠症治療やこころの疾患などで睡眠薬を利用されている場合、その副作用も考えられます。作用時間が長い睡眠薬を利用すると寝起きが悪くなりがちですし、起床しても眠気が続いたり疲労感が継続したりする例もあります。
お薬手帳を確認の上で、薬剤が原因の場合には他院と相談の上で対応します。
低血圧
血圧が低い人の中には、朝が苦手な場合が多く見られます(低血圧の目安は最高血圧が100mmHg以下です)。血圧が低いと、食欲低下や立ちくらみ、疲れやすさや起床のしにくさなどが起きがちですし、脳への血液補充が不足することもあり得ます。女性であれば貧血と重なって状態が悪くなる例もあります。
血液検査の上で貧血、鉄の確認で対応します。家庭血圧、食塩摂取量を確認の上で生活指導、昇圧剤の使用も考慮します。
起立性調節障害
起立性調節障害は10~16歳(小学校高学年から中学校)に多く見られる疾患です。立ちくらみや頭痛、動悸やふらつく感覚のほか、思考力や集中力の低下を伴うこともあります。上記の年齢で午前中の不調が多い場合、この疾患の可能性を視野に入れて検査診断を行います。
Tilt table testでの血圧低下、血圧の日内変動を確認の上で対応を行います。
起床困難の治療法
まず生活習慣の改善などのセルフケアに取り組むことをおすすめしますが、それでも状態が改善しない場合、治療が必要な可能性があります。精神論で片付けようとせずに、ぜひ当院にご相談ください。
当院にお越しいただければ、まず原因を追究したうえで、適切な治療を提供いたします。
規則正しい生活リズム

まず日々の生活を規則正しくして、睡眠の質を高めることが重要です。睡眠時間の確保や夜更かしを避けることを心がけ、朝は太陽光を浴びて体内時計を正常化させましょう。また、就寝前にスマートフォンやパソコンを見るとブルーライトの影響で体内時計が狂うので、控えるようにしてください。
さらに、睡眠日誌をつけて自身の覚醒パターンを知ることも状態改善に役立ちます。
ほかにも1日3回バランスが取れた食事を取ることや、就寝する3時間前には食事を終えていること、過食や寝酒の習慣があれば見直すこと、身体に負荷をかけない程度の有酸素運動を取り入れることなどを推奨します。
薬物療法

それぞれの病態に対して睡眠薬や昇圧剤等の薬剤を使用します。
概日リズム睡眠障害とは

概日リズム睡眠障害は睡眠障害の1種で、地球の自転周期である約24時間と体内時計の同調が適切に行えないときに起こります。
そもそも「概日リズム」とは1日ごとに周期的に繰り返される体内時計を指し、睡眠や覚醒も概日リズムに左右されます(ほかにも免疫や代謝、内分泌ホルモン系や自律神経系なども概日リズムに制御されています)。
実は人間の体内時計は約25時間あるので、地球の自転に起因する24時間とはズレがあります。このズレは「同調因子」と呼ばれる刺激によって是正されますが、同調因子の中で最も影響が大きいのは光です。朝太陽光を浴びることは概日リズムを同調させますが、就寝前にスマートフォンやパソコンの光を見ると概日リズムが狂います。また、食事や通勤、通学などを規則正しく行うこともリズムの同調に役立ちます。
概日リズムが狂った状態のまま社会生活をしようとすると、頭痛や疲労感、食欲不振などを生じやすくなります。また、入眠や覚醒のリズムも乱れるので、この状態を概日リズム睡眠障害と呼びます。
概日リズム睡眠障害の
主な症状
概日リズム睡眠障害になると、体内時計が社会的に要求される時間に合わなくなります。そのため、出勤時間や通勤時間など、多くの人が行う行動に合わせることが難しくなります。以下のような症状があれば、ぜひ早めにご相談ください。
- 夜眠れない・何度も目が覚める
- 朝起きれない・起きた時に体がだるい
- 日中の眠気がおさまらない
- 倦怠感
- 作業効率の低下
- 食欲不振
概日リズム睡眠障害を
引き起こす原因
夜型の生活
近年はゲームや動画視聴、SNSなどに夢中になって、夜型の生活になる人が増えています。そもそもスマートフォンやパソコンの光を就寝前に見ることも睡眠障害に繋がります。
勉強時間の確保
受験勉強は人生に関わるので重要なことではありますが、深夜まで勉強する頻度が増えると体内時計が乱れやすくなります。すると睡眠障害を起こすことがあり、昼夜が逆転したり起きるべき時間に起きられなくなったりします。その結果、学校に行けなくなると本末転倒ですから、ぜひ睡眠時間を適切に確保するよう心がけてください。早期に対応することが大事です。
休日の睡眠リズム
「平日に睡眠が不足しがちなので、休日のほとんどを寝て過ごす」という人もいらっしゃるかと思います。しかし、生活が不規則になるため、このような習慣も好ましくありません。睡眠負債がたまっているので、できるだけ規則正しく、日々適切な睡眠を取りましょう。
睡眠の質の低下
睡眠時間を確保していても、学業や仕事、人間関係などのストレスが多いと、寝付けなかったり悪夢を見たりして、睡眠の質が下がります。すると疲労が抜けにくく、意欲も減退しがちです。
概日リズム睡眠障害の治療法
概日リズム睡眠障害があると、倦怠感や頭痛などの身体症状が現れますし、遅刻や欠席などが増えて社会生活に支障をきたすこともあります。当院ではまずカウンセリングを行って、生活習慣の改善を考えます。
さらに、必要に応じて高照度光療法や薬物療法を行って、体内時計の正常化を目指し、適切な睡眠が取れるように導きます。まずは状況把握が重要なので、ぜひ一度ご来院ください。
生活リズムの調整

生活リズムを整えることは睡眠の質の改善にかかせません。
毎朝同じ時間に起床し、朝の光を浴びて体内時計をしっかり起こしてあげることが重要です。また、朝ご飯を食べることで体温が上がり、元気に過ごすことができます。
そして、夜しっかりと眠るために昼間に適度な運動を行い、夜、眠る際にはスマホなどは使用せず、暗くして眠るようにしましょう。
薬物療法

メラトニン系薬剤等の使用でリズム調整を行います。
高照度光療法

高照度光療法とは、人工的な光を発する機器を使って、体内時計を調整する治療方法です。比較的手軽に進められますし、即効性も期待できます。
またほかの疾患の都合などで薬物療法をしにくいケースでも有効です。ただし目に疾患がある場合などは適用できないケースもあります。
過眠症とは

過眠症になると、日中にも強い眠気に襲われるので、仕事や家事、学業などに支障が出ます。睡眠不足のときや日当たりが良い場所にいるとき、満腹したときなどに眠たくなるのは、過眠症とは無関係に誰にでも起こる現象です。
しかし、仮眠症になると上記のような要因がなくても、抵抗できないほど強い眠気が頻繁に起こります。思い当たる症状がある場合、早めにご相談ください。

過眠症チェックリスト
- 活動中に強い眠気が起こり、実際に眠ってしまうこともある
- 一般的に適切とされる睡眠を取っても強い眠気がある
- 眠らない努力をしても抵抗できないほどの眠気に襲われる
- 眠気が起きる要因がなくても眠い
- 活動中の眠気で生活に支障が出ている
- 週に3回以上、耐え難い眠気に襲われる
過眠症の治療
過眠症の原因は、脳機能の問題や睡眠不足、睡眠疾患やその他の疾患など多数考えられます。そのためまず原因を特定し、それに応じた治療を行う必要があります。
生活習慣の改善

過眠症に対しては、まず生活習慣の改善を推奨します。たとえば、睡眠不足の慢性化が過眠症に繋がる場合もあり、生活習慣が適正化することで解消できる例もあるからです。
薬物療法

特発性過眠症やナルコレプシーなど、脳機能に関連する疾患と診断した場合は、主として中枢神経刺激薬を処方して状態改善を目指します。
当院の取組み

起床困難・概日リズム障害、過眠症を疑う患者さんにおいては、まず、症状の発症時期や誘因、普段の睡眠状況の確認を行います。
神経診察の上で、中枢神経疾患の鑑別、内科疾患の鑑別を行います。睡眠の日誌を記入してもらうこともあります。夜間睡眠が問題ない場合(睡眠ポリグラフ検査も含めて)には、過眠症を考慮して反復睡眠潜検査を行います。このように鑑別を行っていきます。
過眠症の診断手順
薬剤の調整
それぞれの病態に応じた薬剤を使用して効果を確認します。確認の上で患者さんそれぞれあった薬剤の調整を行っていきます。
起立性調節障害の診断
小児期に好発する起立性調節性障害などでは診察時血圧測定、家庭血圧(血圧日内変動)、Tilt table test(体位性血圧変動)を検討します。
起立性調節性障害が疑われる場合には、家庭血圧測定の上で昇圧剤を使用することもあります。また、心理的な要因もある場合には抗うつ剤使用も検討します。
