Lifestyle disease

生活習慣病

生活習慣病とは

生活習慣病としては、高血圧症や糖尿病、脂質異常症や高尿酸値症が有名ですが、がんや心臓疾患、脳血管の疾患なども含まれます。

名称の通り、食事に関する習慣のほか、飲酒や喫煙、運動不足や休養の不足などが発症や進行に大きく関与しますが、環境要因や遺伝的要因も関係することが多いので、広い視野を持って診断や診療を行う必要があります。

生活習慣病のリスクを
高める習慣

生活面

  • 40歳を超えている
  • 20歳代のときより10kg以上太った
  • 喫煙の習慣がある
  • 頻繁に飲酒する
  • 運動不足
  • 睡眠不足
  • ストレスが多い

食事面

  • 脂ものを多くとる
  • 炭水化物の摂取が多い
  • 味付けが濃い料理が好き
  • 甘いものを好む
  • 間食を取りがち
  • 深夜に飲食する
  • 野菜の摂取量が少ない

運動面

  • 主たる移動方法は車である
  • 運動を好まない
  • 1日に7,000歩以下しか歩かない

生活習慣病といわれる病気

「生活習慣病」という言葉は実は定義が明瞭でないため、高血圧症、糖尿病、がん、心疾患、脳血管疾患を五大生活習慣病とくくる場合や、八大生活習慣病として、前述の5種類+肝疾患、腎疾患、膵疾患とするケースもあります。

高血圧症

最大血圧140mmHg以上、または最小血圧90mmHg以上(医療機関の測定で)が高血圧症の基準値です。原因は運動不足や肥満、塩分過多や飲酒などがあげられます。血圧が高い状態が続くと動脈硬化が起きやすく、心疾患や脳血管疾患のほか、認知症のリスクが上がります。

糖尿病

血糖値が高い状態が続く疾患です。三大合併症として神経障害、網膜症、腎症が懸念されますし、動脈硬化に起因する心疾患や脳疾患の危険性も上がります。

脂質異常症(高脂血症)

血中コレステロール値や中性脂肪などの脂質の代謝が異常な状態になる疾患です。動脈硬化から心疾患や脳疾患のリスクが増します。過去には高脂血症と言われていましたが近年は脂質異常症と呼ばれるようになりました。

高尿酸血症

血中の尿酸値が7.0mg/dlを超えることで診断されます。
初期には自覚症状がありませんが、悪化すると耳たぶや足先に結晶化した尿酸が蓄積します。さらにその部位に炎症が起きて激しい痛みを伴う発作が起こります。動脈硬化の原因にもなるため、尿酸値の適正化が必要です。

病気を引き起こす原因別

食習慣が原因で発症する疾患

糖尿病、肥満症、高脂血症、高血圧、高尿酸血症、大腸がん

運動不足が原因で
発症する疾患

糖尿病、肥満、高脂血症、高血圧症、進行が進むと心筋梗塞や脳卒中などのリスクが上がる。

喫煙が原因で
発症する疾患

肺がん、慢性気管支炎

過度な飲酒が原因で
発症する疾患

肝硬変や脂肪肝などの肝疾患

生活習慣病と神経障害

糖尿病になると、三大合併症とされる神経障害、網膜症、腎症の危険性が上がります。特に多いのが神経関連の障害であるため、糖尿病に起因する自律神経障害や運動神経障害、感覚神経障害を糖尿病神経障害と呼びます。

自律神経障害が起きると、排泄や血圧、消化などの調整が難しくなり、便秘や下痢、発汗異常や立ちくらみ、消化不良や勃起障害、排泄異常などが見られますし、心臓の血管にトラブルがあると突然死するリスクもあります。また、単神経障害の場合、目の神経に異常が発生し、ものが二重に見えたり、眼球が動かしにくくなったりします。 一方運動神経障害は、筋力の低下や歩行のしづらさなどを伴います。感覚神経障害は、冷感や足先のしびれ、ものに触れる感覚がわかりにくくなるなどの症状が代表的です。

糖尿病は進行すると動脈硬化が起こって足先への血流量が減りますし、免疫力も下がることから感染も起こりやすくなります。その結果、足の組織で壊疽が起きやすくなりますし、神経障害で痛みを感じにくいことから治療が遅れ、下肢を切断せざるを得ないケースもあります。また、動脈硬化が進むと脳疾患や心疾患のリスクも上がるので、ぜひ生活習慣の適正化に取り組みましょう。動脈硬化の進行により脳卒中を引き起こすこともあるため、生活習慣病の予防が重要です。

生活習慣病の治療

生活習慣病に対しては、食事療法や運動療法を基本とし、必要に応じて薬物療法も取り入れます。
高血圧症であれば、塩分に気を配り、飲酒や喫煙をやめることが有効です。1ヶ月程度左記の生活改善を実施して改善が見られない場合は薬物療法を行いますが、その際も食事療法や運動療法を併用するよう指導します。
脂質異常症や糖尿病、高尿酸血症でも生活習慣の適正化を基本として、必要があれば薬剤を処方するという手順が基本です。

食事療法

食事療法は生活習慣病の改善を目指して、食生活を見直す治療です。疾患の種類や状態によって指導内容は異なりますが、以下のような項目に関して見直しを行うのが一般的です。診察時の指導とともに、高血圧の場合はアプリによる毎日の指導も有用です。

  • 塩分摂取量を控える
  • 飲酒量を控える
  • 適切なカロリー摂取量を心がける
  • 食べ過ぎに気をつける
  • 飽和脂肪酸を摂りすぎないようにする

運動療法

運動療法は適度に身体を動かすことで、生活習慣病の改善を目指す治療方法です。生活習慣病の中には運動不足が要因となるものが多いので、食事療法と並んで推奨されます。
「運動は苦手」、「けがなどが心配」という方も多いですが、軽い有酸素運動や散歩など無理のない範囲でアドバイスしますので、まずは取り組んでみてください。

薬物療法

名称の通り、薬剤を使って状態の改善を目指す治療です。たとえば高血圧症に対しては、降圧剤や漢方薬を処方して血圧の低下を目指します。生活習慣病に有効な薬剤は数多く存在するので、患者さんの状態や年齢、症状などを踏まえて適切な処方を行います。

当院の取組み

脳卒中

急に起こった症状に対して、神経診察、頭部CTの上で原因を究明します。原因に応じて、救急対応が必要な場合には当該施設に緊急で紹介させていただきます。
脳卒中の原因として、生活習慣病が挙げられます。これらの疾患の管理が進行予防のために、大事になります。また、睡眠時無呼吸症候群との合併が多いです。そのため、血液検査等の精査の上で該当する場合にはコントロールを行います。脳塞栓は心房細動等の不整脈の対応は重要です。動悸等症状があれば、心電図でスクリニーニングを行います。検出されない場合には、さらにホルター心電図で評価を行います。年齢とともに心房細動も増えるため、脳塞栓の予防に内服治療が重要です。

高血圧

高血圧は受診時の血圧測定だけでなく、家庭血圧の管理が重要になります。血圧計がない場合には、25時間血圧計で確認を行うこともあります。血圧に影響する食塩摂取量測定の上で、アプリを使用したCurr App HTで生活習慣の見直しを行うことも可能です。
そのうえで、必要があれば薬剤で管理を行います。血圧も季節変動があるため、薬の変更も行うことがあります。

血圧測定

25時間血圧計

Curr App HT

糖尿病

糖尿病は高血糖により細動脈硬化を引き起こし、末梢血管、末梢神経、網膜、腎臓の悪化を起こしやすいです。適切な血糖管理が必要のため、迅速検査で血糖管理を行います。合併症に対して尿検査、末梢神経伝導速度、脈波を状況に応じて検査して対応行います。

尿検査

末梢神経伝導速度

脈波

高脂血症

高脂血症も動脈硬化因子として、需要です。迅速検査を使用しながら対応を行います。特に、高LDL血症の場合には動脈硬化の精査として頸動脈エコーは需要です。高TG血症では脂肪肝、肝機能障害を呈しやすいので腹部エコーでの確認も重要です。体脂肪の管理に体組成計での評価も行っています。

頸動脈エコー

腹部エコー

体組成計

高尿酸血症

高尿酸血症は痛風のイメージが強いですが、動脈硬化因子になることも報告されています。尿検査を含めて高尿酸血症のタイプ分類を行い、ガイドラインに応じて尿酸値の正常化(<6mg.dl)を計ります。

高尿酸血症タイプ分類

高尿酸血症タイプ分類の図表
※クリックもしくはタップで拡大できます。

高尿酸血症治療ガイドライン

高尿酸血症治療ガイドラインの図表
※クリックもしくはタップで拡大できます。

脈波

サルコペニア

高齢になると、サルコペニアが問題となります。筋肉量の低下より転倒、骨量の低下より骨折のリスクが増します。また、夏は脱水が問題になることもあります。そのため、体組成計で確認を行いながら、対応します。骨粗鬆症のリスクは骨塩精査も含めて対応します。

体組成計

骨塩測定