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パーキンソン病関連疾患に併存するRBDにおける神経生理学的側面(臨床神経生理学会)

シンポジウム『レム睡眠行動障害研究の進歩』座長及び演者を行いました。

獨協医科大学埼玉医療センター宮本智之先生と座長をさせていただきましたが、会場におられる宮本先生にほとんどお願いした形になりました。今回のシンポジウムのテーマは精神科、脳神経内科でレム睡眠行動障害(RBD)に対応する神経生理学的側面を共有することです。

まず、名古屋大学 精神医学分野 岩本 邦弘 先生より『精神科で遭遇する偶発的な筋活動低下を伴わないレム睡眠とその臨床的特徴』について話していただきました。RBDでは脳波上REM sleep without atonia (RWA)という異常が出ますが、精神疾患や抗うつ剤の影響を受けることがあります。RWA自体は人口の5~25%認められ、RBDの早期所見の可能性もあります。

次に、滋賀医科大学 精神医学講座 角 幸頼 先生より『レム睡眠行動障害の自律神経障害』について話していただきました。RBDの障害部位は自律神経のネットワークに関わります。自記式質問紙の評価が多い中、心拍数を使用した検討を提示してもらいました。

三番目に、企画草案者の獨協医科大学 看護医科学 宮本 雅之 先生より『RBDにおけるsleep injuryについての検討神経生理学的側面より』について話していただきました。RBDは睡眠中の暴力行動を起こすため、怪我が問題となります。ベットか上での見守り機器を紹介していただき、アラームセンサーも有効とのことでした。ここで、気になっていた夢から起こすことは良いのか?訪ねてみました。夢の始めは大丈夫だが、行動化しているとまずいかもということで納得しました。

最後に、私が『パーキンソン病関連疾患に併存するRBDにおける神経生理学的側面』という題名で話していただきました。今回、事前に音声付スライドを作成していましたが、やっぱり臨場感が欲しいので自分で講演することを選びました。しかし、ここでトラブル発生です。スライドが立ち上がらず、回線が切れました。中々、回線がつながらず、時間ロスとなりました。会場の宮本先生と角先生が討論をしていただき、場をつないでいただきました。申し訳ありませんでした。

RBDは神経変性疾患への進展が多く、特にパーキンソン病関連疾患に進展します。その中で、シヌクレイノパチーである多系統萎縮症(MSA)、レビー小体病(DLB)、パーキンソン病(PD)が多いです。リスク因子としては、RWAも挙げられています。RWAは筋電図よりphasic, tonic, anyに分けますが、anyの比率が多いとパーキンソンやレビー小体型認知症のリスクになるという報告もあります。RBDからシヌクレイノパチーへのリスクをどう考えるかというところで、理論モデルに分けると分かりやすいです。MSAは自律神経症状が強く、DLBは認知機能障害、PDは運動症状とそれぞれの主な症状に分けることができます。RBDの自律神経症状としては、起立性低血圧、MIBG心筋シンチの取り込み低下、排尿機能障害、腸管蠕動運動障害の報告があります。認知機能障害としは、認知機能の低下だけでなく、嗅覚機能、色覚機能の低下も報告されています。 運動機能では振戦(震え)よりも筋強剛や運動緩慢が多いという報告があります。こういった徴候を確認しながら、 対応を考慮する必要があると思われます。対応としてはクロナゼパム、メラトニン等の有効性の報告がある中、神経保護作用のある薬剤候補を探ることが大事と思われます。最後に、シヌクレイノパチー進展後の対応としてはパーキンソン病関連の報告が多いのですが、自律神経、認知機能、運動機能の悪化因子になるため、より注意しての治療が大事と言えます。

結局、講演に手間取ってしまい、総合討論の時間が無くなりましたが、興味のあったうつ症状の関連を質問しました。一般的な大うつよりは無気力と言ったような症状が多いようです。うつ病では便秘も多いらしく、より注意しての診療が大事だと再認識しました。いろいろと勉強になりました。ありがとうございました。今度は会場で討論できることを祈っております。