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PD-Sleep Conference 2019

2013年にPD-Sleep conferenceがあり、講演させていただきましたが、今回も講演の機会をいただきました。当時は『パーキンソン病におけるRBD』という演題でしたが、スライドを見比べても進歩しているのを実感しました。今回はさらに睡眠に絡む周辺の話もありました。

慶応大学関守信先生よりパーキンソン病における痛みと睡眠と関連の話がありました。痛みはドパミンと関連があり、疼痛抑制経路でドパミン、ノルアドレナリン、セロトニンで関与します。痛みは睡眠障害が起こり、睡眠不足は痛みを増悪します。疼痛、うつ、睡眠障害の三角関係が成り立ち、治療するうえでも疼痛だけでは不十分となります。

タイのRoongroj Bhidayasiri先生より夜間の評価としてデジタル機器の開発を紹介してもらいました。四肢とベルト使用して判定し、Axialと四肢の動きが違います。パーキンソン病ではAxialの動きが鈍くなりやすく、中途覚醒も増えるます。 RBDでもatigraphyで検出可能です。睡眠の前後半でも動きも違うのも興味深かった。ここにドパミン日内変動の相違も関連がありそうです臥位睡眠とEDSと関連があり、ロチゴチンでAxial movementも改善するのも興味深かった。

 

国際医療福祉大学内山智之先生よりパーキンソン病の夜間頻尿と睡眠障害の関連を聴講しました。夜間頻尿には膀胱筋活動の障害による膀胱の弛緩不全や膀胱知覚増強、排尿筋収縮不全と共に水利尿や浸透圧利尿(薬剤、DM)の影響もあります。夜間多尿(1日の1/3以上)にはADHの日内変動があり、パーキンソン病でもADHの日内変動異常が起こります。残尿尿測定必要性やデスモプレッシンも治療薬として有効で、ドパミン補充(D1作用)が有効と示してもらいました。アマンタジン、イストラデフィニルで有効な場合もあるようです。

 

筑波大学柳沢正史先生より睡眠覚醒の謎に挑むと題して睡眠基礎医学を紹介してもらいました。朝日新聞掲載の絵を紹介してもらいましたが、綺麗でわかりやすいです視床下部から脳幹にスウィッチ機能がある(秒単位で切り替える)のに対して、恒常性機能は未解明です。マウスレベルでSleepyという遺伝子を発見され、Sleepy変異マウスは、SIK3 と呼ばれる蛋白質リン酸化酵素の遺伝子変異を持ちます。眠気がある時にはリン酸化が高度起こっています(SNIPPS)。SIKを抑制すると眠気が減って、リン酸化も減ることを示してもらいました。あまりに壮大な実験で圧倒されました。

普段知らない睡眠の周辺の話も聞けて、勉強になりました。銀座の一で慰労会です。   ちょうどワールドカップ日本v.s.サモアの結果をネットで確認しながらのスタートです。日本の勝利が決まってから、乾杯の上で楽しくご飯を頂きました。MDS-AOSの長であるBhidayasiri先生にタイの話を聞いたり、ノーベル賞候補の柳沢先生に睡眠の疑問をいろいろと教えてもらって高級な美味しいご飯と高級なお酒と共に楽しく貴重な話を聞けました。順天堂服部先生と福岡大学坪井先生の絡みから、後半は中州の話に盛り上がり終了です。