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太陽ファルマ研修会

COMT阻害薬オピカポンの使用する中、温故知新ではありませんが、レボドパ製剤においても考え直しています。そんな中、レボドパベンセラシド製剤マドパーを販売している太陽ファルマより研修会の依頼がありました。『パーキンソン病治療の実態』と題してパーキンソン病診療について説明しました。現在は非運動症状と言われる段階よりパーキンソン病を考慮していますが、運動症状で診断となります。パーキンソン病の主な運動症状は振戦、筋強剛、無動、姿勢反射障害です。これらはパーキンソン徴候と総称しますが、この症状があってもパーキンソン病ではなく、パーキンソン関連疾患となります。ここから多系統萎縮症、大脳皮質基底核変性症、進行性核上性麻痺、脳血管障害性パーキンソンニズムを鑑別します。最近はドパミントランスポーターシンチグラム(DAT)で黒質から線条体へのドパミン神経への変性状況も精査できるため、活用しています。その上でパーキンソン病の診断となります。早期治療ではガイドラインでも運動合併症の考慮により治療手段が異なってきます。実際の症例を動画含めて確認です。運動合併症であるウェアリングオフ、ジスキネジアが出現すると進行期として対応を行っていきます。種々の内服薬を使用でいよいよ難しい場合に、LCIGやDBSと言ったデバイス治療も行います。同じ患者さんで時間帯、日により症状が違うことを動画で確認してもらいました。ここからレボドパ治療についてです。レボドパは血中で代謝されてしまうために、脱炭酸酵素を配合しています。脱炭酸酵素によりカルビドパ、ベンセラシドに分けられます。こうすることにより効率にレボドパとしてドパミン神経細胞内にドパミンの原材料として取り込むようにします。薬物動態的にベンセラシド配合剤の方が吸収が早い特徴があります。

そのことによりベンセラシド配合剤は素早く効果を発揮し、カルビドパは緩やかに持続する違いがあります。私自身はオーベンより教えてもらって何も考えずに、カルビドパ配合剤を使用してきました。山陰地方では95%カルビドパ配合剤使用で、全国的にも75%カルビドパ配合剤が使用されているようです。オピカポンの治験よりベンゼラシド配合剤の方が良い結果があり、使用してみたら、有効な方がおられ考え直しました。実際には配合剤用量の違いがありそうで、歴史の話しもしました。ちょっとゆっくり話していたら、時間をオーバーしておりました。申し訳ありません。

櫻川で続きの話しです。ご主人が自分が仕留めたジビエ料理もいただきました。鹿のレバー濃厚でした。今回の件は温故知新というべき話でしたが、『時を戻そう』とはいかないのがパーキンソン病等の神経変性疾患の治療なので、先を見据えた治療が必要です。