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認知症診療up to date

10年前インスブルックに降り立った日に『認知症と睡眠障害』という演題で講演する機会をいただきました。認知症毎に特異的な睡眠障害をあります。認知症の初期より睡眠障害はBPSDに影響を与えることが分かっており、頻度も多いのが知られています。レビー小体型認知症(DLB)においては診断基準にレム睡眠行動障害(RBD)の症状、睡眠ポリグラフ所見が盛り込まれました。ただ、RBDは認知症発症前に出現していることも知られており、高頻度でDLB等の神経変性疾患になることが報告され、実診療でも実感しています。早期の確認が大事な所見であり、当クリニックでも力を入れていますが、対応については試行錯誤の状態です。

脳血管障害性認知症の病態には脳梗塞等の脳血管障害が関わります。脳血管障害のリスクに睡眠時無呼吸症候群が挙げられますが、睡眠時無呼吸症候群では認知症のリスクが上がり、特に女性で高い報告があります。対応は持続陽圧呼吸療法(CPAP)等になりますが、継続率が低いのが欠点であり、その対応が重要です。

自覚的な不眠や睡眠ポリグラフでのレム睡眠の減少が認知症のリスクと報告があります。アルツハイマー病(AD)の原因となるアミロイドβが睡眠で除去されるため、睡眠不足だと脳内に蓄積する可能性があります。その状態が続くとADに進展になる可能性も想定できるため対応が必要です。ただ、睡眠薬の服用も認知症のリスクとなるため、最低限度の使用でいい数移民状況にすることが大事だと思われます。

その後の數井先生の講演では、正常圧水頭症への対応重要性、ADBPSDを踏まえた対応の仕方等を教えていただきました。

講演会終了後の会食でも精神科の立場でDLBの臨床像に違いがあることを確認し、済生会境港病院粟木先生から幻覚の良性、悪性のイメージとして色の重要性を教えていただきました。非常にためになる会でした。