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多系統萎縮症と自律神経(第72回自律神経学会)

獨協医科大学脳神経内科 平田幸一先生の代打で自律神経学会の座長をすることになりました。小倉の北九州国際会議場でありました。獨協医科大学看護学部 宮本雅之先生と一緒に座長ですが、導入と2演題の司会をしました

獨協医科大学埼玉医療センター 宮本智之先生より『多系統萎縮症における睡眠関連疾患の臨床』という演題で、喘鳴がリスクになることやRBDでも自律神経障害があると進展が早いことを示されました。レム睡眠行動障害(RBD)→多系統萎縮症(MSA)になったケースではMIBG心筋シンチ取り込み低下がなかったことも興味深かったです。

香川大学医学部 出口一志先生より『多系統萎縮症における自律神経障害』という演題でMSAの自律神経病理から起立性低血圧、排尿障害、睡眠関連呼吸障害を示されました。Tilt table testでもDelayed OD(10分後)からclassical OD(3分後)と進展することは興味深った。クロニジン負荷によるGH上昇での鑑別も勉強になりました。尿閉がMSAの初発で多いですが、残尿測定が重要であることも議論になりました。今後これらもチェックしないといけません。

 

座長を宮本雅之先生に代わってもらって、福島県立医大脳神経内科 金井数明先生より『多系統萎縮症の遺伝学的背景』について教えてもらいました。遺伝子の関連が少ないと思われるMSAですが、COQ2、GBA、LARK2SNCA変異も報告があるようです。RBDでも可能性ある?と興味が湧いてきます。

シンポジウムのスケジュールで総合討論を入れてしまいましたが、演者間で質問が飛び交い有意義なものとなりました。

ランチョンセミナーで京都大学神経内科 高橋良輔先生の『パーキンソン病の最新治療』を聞いて帰ることにしました。シヌクレインモデルのBAC-SNCAマウス(αシヌクレイン凝集)を作成されたのには、ビックリしました。嗅覚低下、REM sleep without atonia、腸管にシヌクレイン集積等が起こっているらしいです。これは今後の結果が待ち遠しい。治療についてはやはりiPS細胞の結果ですが、胎児細胞移植(65歳以下で罹病期間10年以下)も再検討されていることと、iPS細胞移植自体も順調で45年で結果公表とのことでした。色んな面白い話が聞けてためになりました。